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収震について

1995年阪神淡路大震災以降、現行基準の想定を大幅に上回る大きさと長さの揺れが相次いで発生しています。

東日本大震災では耐震補強済みの中学校、大学校舎の取り壊しや、免振や制震した建物であっても大破は免れましたが、部分的な損壊などにより使用停止が避けられないことが起こっていました。このことは現行法の設計方法や補強方法では想定を超える大地震に対して使用停止が免れないことを示しています。

周辺地盤と構造全体で地震のエネルギーを収める

建物や、高架橋など、構造物の各層(各フロア)は、通常、互いに平行に建設されています。

耐震設計された構造物でも、柱や壁の中の鉄筋・鉄骨、木造の釘、ビス、金物、耐震補強の鉄骨ブレースなどの金属は、想定 を超えるひずみを受けると、降伏して元の形に戻らなくなり、これが繰り返すとコンクリートや木材を損傷させます。

 

 また、炭素繊維・アラミド繊維は、破断してしまいます。免振・制震は、構造物の一部に入れた免振装置や制震装置の設計限界を超える変位を繰り返し生じれば、装置が破壊するか、構造物が破壊します。結局、耐震であれ、免振・制震であれ、従来構造は、想定を超える地盤の揺れを繰り返し受けると柱や壁にひずみが蓄積し、右図のように各フロアが平行でなくなり、揺れが大きくなって、内部や周囲の仕上げ、設備が損傷します。

 

 SRF工法はポリエステル繊維製のベルトやシート(高延性材)をウレタン系の高靭性接着剤で柱、壁、接合部等に巻きつけ、貼り付ける補強方法です。しなやかな高延性材は、繰り返しひずみを生じてもコンクリートや木材を傷めず、柱、壁、接合部はほぼ元に戻り、安定してフロア(層)を支え続けるので、各フロアは互いに平行を保つように、ほぼ円運動をします。このようにして、地盤の揺れは、構造物の各部分と周辺地盤の安定した変形の繰り返しとなります。それぞれの消費エネルギーは僅かずつですが、全体としては大きな消費エネルギーとなり、揺れは収まります。結局、仕上げや設備もほとんど損傷しません。これが収震(Seismic Restoration)です。

 

 従来は危険な構造とされた偏心やピロティであっても、収震ならば、現行基準の想定を大幅に超える地盤の揺れであっても、建物の揺れは収まり被害がないことは、SRF工法で補強して2011年東日本大震災を受けた多くの建物で、そして、2016年熊本地震の熊本市内大学校舎等で実証されました。